海老名市での会社破産
ケース紹介
海老名市内の不動産会社
債権者数約5社
負債総額約6000万円
神奈川県海老名市で、不動産仲介・賃貸の管理のほか、建築工事の請負業務をしていた会社です。
先代社長の影響もあり、経営がうまくいかなくなった様子でした。
社長引き継ぎがうまく行かず破綻
代表取締役から、破産の相談を受けました。二代目の社長とのことでした。
父が設立し、代表を務める破産会社に就職。
その後、まもなく父に代わって代表取締役に就任したという経緯でした。
しかし、会社の実権は依然として父が握っており、経理も父が取り仕切っている状況。
以前から、大手都市銀行、地方銀行、日本政策金融公庫から、運転資金の借入れをしていましたが、会社の売上も順調で返済に問題はありませんでした。
不動産業と銀行融資
不動産業では、不動産の仕入れのための資金として、金融機関を使うことも多いです。
そのため、複数の銀行との取引があるのが通常です。
融資を受けやすくするために、都市銀行のほか、地方銀行との付き合いも大事にすることが必要と言われます。そのため、破綻する際の債権者としては、地元の金融機関のほか、大手都市銀行も含まれている、ときには、政府系の金融機関も含まれているということになります。
借金をして不動産を購入し、転売するようなビジネスの場合には、一時的に負債総額が高くなる傾向にあります。
景気悪化による借り入れ増
不動産業では、景気の影響を受けやすいです。
不動産取引が活発になる時期とそうでない時期とがあります。
不動産業で利益を上げるためには、このような波を読む力が必要になってきます。
特に、融資を受けているようなケースは、この波を読めないと、不動産取引が冷え込んでるときに、多額の債務支払いに苦しむことになり、経営破綻をするケースもあります。
金融状況として、市中にお金が回っている時期には、不動産は動きやすくなるので、リスクを取って融資を受け、取引を活発に進めることで利益が出やすくなります。
経済指標などの統計的な数値を見るほか、消費者の動向なども見る必要があるといえます。
タイミングがかなり重要な業種といえるでしょう。
今回は、不景気の影響により売上が徐々に減少し始め、借入額が膨らんでいってしまいました。
会長による解雇
4名いた営業担当の従業員うち2名を、父が成績不良を理由に解雇。
新規顧客の獲得数が減少し、売上の減少に拍車がかかって、返済が厳しくなりました。
残り2名の営業担当に仕事量の皺寄せがいったこともあり、ナンバー1の営業成績を上げていた従業員も退職。
ますます売上が落ちました。
父も高齢となり、働くことのできる状態ではなくなっていました。何とか返済を続ける中、最後の営業担当も病気で仕事ができなくなり、売上は壊滅状態となりました。
給与の支払も難しくなってしまったため、残る従業員も解雇し、家族とも話合った結果、破産するしかないという結論に至りました。
会長と社長の対立と経営破綻
業界全体の不況であるのに、従業員が原因であると決めつけ解雇するような動きに出ると、当然ながら、従業員は離れていってしまいます。
経費削減のために、リストラが必要な状況もあるかもしれないですが、営業担当を半分にするのであれば、それによる失われた売り上げをどう補填するかフォローしなければ、経営者としての仕事とはいえないでしょう。
このように、社長を退いて会長などになった親が、経営に口を出し、判断を間違えて経営を悪化させるケースが多いです。
中小企業に限らず、大企業でも起きていることです。
会長の動きにより、会社が助かることもあるので、助言自体が悪いとは断定できません。
ただ、現場で、会長と社長の経営方針が違うのであれば、そこはしっかりと協議をして進めなければ、代表取締役の意味がないといえるでしょう。
親であっても間違っていると考えるのであれば、その時点でしっかりと対応すべきであるといえます
本社ビルの明渡後の法人破産申立
本店は代表者の父が所有しているビルでした。
会社の所有物と代表者の家族の私物が一部混在している状況。
4社から相見積もりを取得したうえ、会社の什器備品・工具の買取に最も高い値段をつけ、かつ、明渡費用が最も安価であった業者に作業を依頼しました。
明渡しを終え、会社の現金から支払いをしています。
約5年間にわたって賃料を支払っていない状況であったが、賃貸人に請求の意思はなく、滞納賃料は保証金と相殺のうえ、残額については免除を受けたものと取り扱いました。
家族所有の物件で、事実上、賃料負担がないにも関わらず、破綻するほどの赤字だったということで、相当の経営悪化状態だったことが認められます。
法人破産と本店事務所の明け渡し
法人の自己破産手続では、本店事務所を明け渡してから、自己破産の申し立てをするのか、そのまま申し立てをして、破産管財人による明け渡しとするのか進め方があります。
破産管財人による対応をしてもらうほうが、ラクではありますが、明け渡し費用なども予納金に含めるので、その分、申立費用が高くなります。
また、賃貸人が、明け渡しを急いでるようなケースでは、破産申し立てまで待てないということもあります。
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このような費用や時期などの諸事情を考慮したうえ、どちらにするのかを選択します。
実務的にはどちらのパターンもあります。
明け渡し費用がどれぐらいなのかの見積もりと、賃貸人の意向をチェックすることになります。
本店内に、財産や、大事なデータ等がある場合には、なるべく破産管財人に引き継ぎ、管財人によって処分してもらうほうが無難なことが多いのです。
やはり、明け渡し費用も予納しなければならないとか、賃貸人が早期明渡を強く求めていると、そのような方法が難しいこともあります。
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