厚木市での会社破産
ケース紹介
厚木市内の弁当関連会社
債権者数約46社
負債総額約6000万円
神奈川県厚木市で弁当制作等の業務をしていた会社です。
営業中に相談がありました。
競合の進出
代表者は、もともとお弁当屋や仕出し弁当会社に長く勤務して働いていました。
そこから独立し、最初から会社を設立して、現在の工場を借りて弁当屋を開始。
当初は競合も少なく、黒字経営が続いていました。
当初は、家族を役員にして始め、その後は、子どもたちも働くようになりました。
経営のピーク時には、パートを含めて従業員が30人程度、年間売上は1億5000万円程度まで成長。
しかし、この売上は、大規模な工事現場を中心していたものだったので、その工事が終わると売上が減少。
さらに、この業界でも競争が激しくなり、他県の業者などが進出してきました。
低価格弁当を仕掛けられ、お客さんが奪われてしまったことででも、売上が急落。
赤字転落
売上の減少に対し、従業員を減らすなどして対応してきましたが、赤字に転落してしまいます。
年間4~500万円の営業損失が出るようになってしまいました。
さらに、消費税改正でも価格転嫁できず、円安による材料費の高騰により、経営の目処が立たなくなりました。
親族が受け取った相続財産を会社に入れて運転資金を確保していましたが、赤字は解消できず。
雇用を維持しようと、事業譲渡も試み、上場企業の社長に現状を見てもらいましたが、赤字は仕方がないと言われ、事業の買取は難しいと言われてしまいます。
メインバンクのローン返済を一部猶予してもらっていますが、それも猶予期限が近々切れ返済額が上がるため、経営の続行は難しいと考え相談に来ました。
食品会社の自己破産
弁当制作会社のほかに、飲食店や、スーパー、ケーキ屋など食べ物を取り扱う会社の自己破産申し立てでは、生鮮食品ということもあり、破産申し立て時期や、事業停止のタイミングを図る必要があります。
事業を停止してから時間がかかる場合、倉庫などに生鮮食品が残っていると腐ってしまい廃棄に大変な思いをすることもあります。
そのため、事業の停止日であるエックスデーをいつにするかの設定、破産申し立てまでにかかる時間の見込み、生鮮食品の処分方法等を検討する必要があります。
また、継続的な取引をしている会社があるのであれば、取引先に対する損害を減らす工夫もしておいた方が良いでしょう。
例えば、継続的に弁当を企業に配達してるようなケースでは、急に弁当が届かなくなると相手が困ることもあります。
このような場合、競合などに引き継ぐのかどうか、何らかの情報提供するのかどうかなど、フォローをすることも考えられます。
今回のケースでは、そのような点も事前に検討しました。
秘密裏での破産申し立て準備
会社の自己破産の申し立てでは、その準備は秘密裏に進めることがほとんどです。
なぜなら、自己破産をするのではないかという噂が業界に立ってしまうと、取引先からの売掛金回収等ができなくなるからです。
取引先も、破産をするならば、支払いをしなくても良いなどと考えるところが出てきます。
そうすると、自己破産の処理がスムーズに進まなくなります。
そのため、自己破産を申し立てる際には、従業員を含めて、ほとんどの内部関係者にも秘密で進めることが多いです。
代表者しか知らないケースとか、代表者とその家族のみに告示告知するケース、経理担当者にだけ、打ち明けるケースなどありますが、基本的に一部の従業員にだけ教えるとか、取引先にだけ伝えるということをする事はないでしょう。
従業員に対する一斉説明会
とはいえ、自己破産の申し立て前には、従業員に対して何らかの説明をしていくのが通常です。
従業員に対して個別連絡し、一同に集まってもらった上で一斉説明をするようなこともあります。
今回のケースでも、そのような従業員説明会を開きました。
破産会社ではありがちですが、従業員の一部について未払いの給料があったりするので、その給与について、破産手続開始決定後に、破産管財人による支払いや、未払い賃金立て替え払い制度の利用の可能性を説明し、その書き方などの文章も配布するなどしました。
当然ながら、従業員は、突然の解雇となるので、感情的になることが多いです。
しかし、そのような場を設けないと、従業員に対してかえって迷惑がかかってしまいます。
解雇手続きのみならず、可能であれば、このタイミングで源泉徴収票や、離職票の準備をしておければよいのですが、社労士費用の未払い等があると、この点も難しいことが多く、十分なフォローができないこともあります。
会社破産と解雇予告手当
また、解雇の場合、解雇予告手当の支払いが本来は必要です。
会社に行って金額のお金があるのであれば、解雇予告手当を支払った上で、解雇し、自己破産の申し立てに進むということができます。
しかし、十分なお金がないようなケースが、解雇予告手当を支払うことができないと言うこともあります。
このような場合には、やむを得ないので、その旨の説明をするしかありません。
工場の明渡
会社名義で、事務所や工場を借りているような場合には、自己破産をする際にそれを明け渡しをしてから申し立てをする方法と、そのままの状態で破産申し立てをし、管財人に引き継ぐ方法があります。
管財人にそのまま引き継ぐ場合には、管財人が明け渡し作業を行わなければならない関係上、裁判所に払う予納金がその分必要になります。
どの程度費用がかかるのか見積もりを取った上で申し立てをすることになります。
明け渡しをしてから申し立てをする場合には、明け渡し費用を自分たちで負担して明け渡す、その分、引き継ぎの予納金の金額は低くなるという関係なります。
事務所や工場内に、一定の財産がある場合には、明け渡しをするとなると、その財産処分が必要なります。
工場の器具や倒産に価値があるようなケースでは、その財産処分を申し立て前にするよりは、管財人に引き継ぎ、適正価格での処分をしてもらった方が、破産手続きとしては明確です。
そのため、財産が工場内、事務所内にあるようなケースでは、管財人に引き継ぐ方がベターでしょう。
また、どれだけ自己破産を急ぐかとも関連する問題になります。
今回のケースでは、生鮮食品等の問題とあったことから、自己破産をしたってを急ぐ方向を取り、明け渡しをせずに管財人に引き継ぐものとしています。
一定の売掛金を回収できていたために、予納金としても足りる見込みがあったので、このような申し立てをしています。
法人破産のご相談は、以下のボタンよりお申し込みください。