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介護事業者の会社破産

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ケース紹介

 

介護事業者の会社破産

債権者数約1社

負債総額約700万円


大和市の介護事業を営む会社が、日本政策金融公庫から約700万円の債務を抱えて破産に至った事例をご紹介します。

介護報酬の単価引き下げや人材不足、利用者の減少などが重なり、小規模介護事業者が直面する厳しい現実が浮き彫りになりました。公的金融機関である日本政策金融公庫との減額交渉の難しさや、破産手続きの流れについても解説します。

この記事は、

    介護事業のの経営者
  • 日本政策金融公庫への返済が困難な人

という人に役立つ内容です。

著者 弁護士石井琢磨

 弁護士石井琢磨
 更新:2025.7.24

大和市にある法人の倒産事例の紹介

債権者は日本政策金融公庫1社のみ、約700万円の債務でした。

約170万円の預貯金あり、事業は停止、賃貸物件も明け渡しています。

債権者1社のため、減額交渉をするも、債権者からは難しいとの回答のため、破産申し立てとなった事案です。

 

日本政策金融公庫とは

日本政策金融公庫は、国が100%出資する政府系の政策金融機関です。

2008年に「国民生活金融公庫」「中小企業金融公庫」「農林漁業金融公庫」の3つの特殊法人を統合して設立されました。

目的は「民間金融機関の融資を補完し、中小企業・小規模事業者・農林水産業者などの資金調達を支援すること」とされています。

加えて、金融秩序の混乱や大規模災害・感染症など緊急時にも対応する金融機能を担っています。最近では、新型コロナウイルス蔓延時に救済融資を広くおこなっていました。

組織形態は株式会社ですが、株式の100%を国(財務省)が常に保持することが法律で定められています。

つまり、民営化を前提とした企業形態ではなく、公的役割を持った株式会社です。

いわゆる「一般貸付」「特別貸付」「生活衛生貸付」など、中小企業や小規模事業者、農林水産事業者に対し、さまざまな融資制度を提供しています。

 

日本政策金融公庫との減額交渉

公的な位置づけのため、単なる交渉ですと、債務を交渉してもらうのは難しいです。

回収可能性を考えれば、破産費用が控除されて残りの配当を受けるよりも、全額回収し、残額を免除したほうが良いはずです。

個人の債権者であれば、そのような説得も有効です。

これに対し、株式会社や、国が関与する機関の場合には、株主等への説明責任が発生します。

一部免除となると、その合理性を示す必要があるため、簡単には行きません。債権者からすれば、裁判所の破産決定が出されれば回収不能の説明もでき、損金処理も可能です。

なお、日本政策金融公庫もIR情報として有価証券報告書がサイト上で公開されています。

 

介護事業の破産

今回の依頼があった会社は、介護事業を行っていました。

代表者はもともと、介護とは全く関係のない職種で会社員として稼働。家族が介護・福祉関係の仕事をしていたこともあり、次第に介護の分野に興味を持つようになりました。

そして、家族に対し、「一緒に介護の事業を立ち上げないか」と持ち掛けました。

その後、介護職員の初任者研修を受け、会社を退職。

グループホームや入所施設で介護の経験を積み、会社を設立しました。

事務所として使用するため、大和市の物件を賃借。

事業が軌道に乗り黒字になるまでの運転資金として、日本政策金融公庫から借り入れました。

ケアマネージャーに営業を掛けたり、ホームページの作成やチラシの配布等によって顧客を募り、利用者は順調に増えました。

しかし、仕事量は多く、休暇を取ることもできないような状態であったにも拘わらず、売上は思った程伸びず、収支はよい月でトントンといった状態でした。

パート職員1名や正社員を雇用し、売上は伸びたものの人件費は増えたため、業績の改善には至りませんでした。

介護事業の破産

それまで利息のみを支払えばよかった日本政策金融公庫からの借入れについて、元本返済が始まりました。

そこで従業員が退職。新たに職員を募集しましたが、人材難。

顧客が一挙に3名、入院したり、お亡くなりになったりで、利用がなくなってしまいました。

 

 

介護事業は法改正で厳しく

加えて、法改正により、訪問介護の介護報酬の単価が引き下げられました。

厚生労働省は、介護経営の大規模化や協働化に向けた政策を打ち出しており、小規模企業にとっては逆風の状況でした。

事業の先行きが見通せず、休暇もなく肉体的にも精神的にも疲弊してしまったため、事業は廃止。

事務所も明け渡し。

債権者が日本政策金融公庫1社ということで減額交渉をするも応じてもらえず破産の依頼となりました。

このような小規模介護事業者の破産や事業停止の相談は多く来ており、事業継続が難しい会社が多いことが分かります。

破産手続の終了

日本政策金融公庫からの借入の際に、代表者は保証人になっていませんでした。そのため、法人の破産申立のみを進めています。

破産管財人との面談、預貯金の引き継ぎを行い、破産管財人において同意配当を進めて破産手続き終結となっています。

破産決定から終結決定まで4ヶ月程度の期間でした。

法人破産期間

 

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