
板金業の会社破産
ケース紹介
厚木市の板金会社
債権者数約5社
負債総額約1400万円
神奈川県厚木市で自動車板金業を経営していた会社の法人破産相談です。
5社に1400万円の債務があり、払えないとの相談でした。
この記事は、
-
自動車板金業で法人破産を検討している
- 工場の明渡問題を抱えている
という人に役立つ内容です。
自動車板金業の法人破産
相談会社は、20年以上前に、現在の代表者の父が設立した会社とのことでした。
当初から自動車の板金等を業務としていました。
相談者は、数年間働いた後、10年以上前に代表取締役となり、父から会社を引き継ぎました。
2代目社長の会社破産
現在の代表取締役が引き継いだ当初から、会社には貯蓄が少なく、運転資金が不足している状態とのことでした。
すでに、父の代で、父個人の預貯金を会社に貸し付けて運転資金を補っていたことが判明しました。
現在の代表者には、そのような預貯金がなかったため、国民生活金融公庫で運転資金を借り入れて対応していました。
最初の借入は500万円程度でした。返済時期になると公庫の担当者と話をするのですが、担当者から手元にどれくらい運転資金が欲しいかと聞かれ、その都度、金額を答えると、契約の切り替えの際に、借入金額が少しずつ増えてきました。
また、一時的に、売上が減って返済が厳しくなった際に、返済期間を延ばせないか担当者に相談すると、追加融資の提案をされるなどして、借入金額が増えました。
大きな投資などはしていませんが、徐々に借入金額は増えてしまったそうです。
話を聞く限り、借金頼みの経営のように見えます。ただ、経営にも波があり、好調のときには借金も返済しつつ利益を出せていたこともあったそうです。
このように、会社を引き継いだときから、状態が良くなく、長期間かけて借金が増えてしまい、法人破産になってしまうという会社もよくあります。
引き継ぐ段階で会計知識を持っておき、お金の流れを知り、判断材料にすることができれば、このような法人破産は回避できたでしょう。
さらに売上自体の減少で法人破産へ
その後、ここ数年は、売上が毎年下がるようになってしまいました。
いわゆる町の自動車工場という形態でしたが、修理の依頼が減ってしまったことや、修理の依頼があっても単価が低い修理の依頼が多くなってしまったことが原因とのことでした。
大手の進出や単価の高い板金への需要の減少が売上が減ってしまった原因だと思います。
業態を追加し、中古車販売で売上を上げようとしましたが、売上は伸びませんでした。
自動車関係ということで、板金業中心だったところから、中古車販売等に手を出すということは比較的よくある話です。うまく行っている店舗もありますが、仕入れ資金が必要だったりして、会計の流れは全く違うので、その点をクリアできないとうまくいかないでしょう。
法人破産の決算状況
法人破産では、直近の決算書を提出します。
その数字も、支払不能状態になっているかの判断材料とされます。
今回、直近3期の決算状況を見ても、3年前が赤字、2年前には役員報酬を減らしたことで黒字になったものの、1年前には再び赤字経営となり、売上は下げ止まらず、返済を続けながら経営をするのは難しいと判断したとのことでした。
役員報酬を減額するのは、倒産直前の会社ではよくある話ですが、それでも赤字となると、根本的な対策ができないと、回復は難しいでしょう。
借金自体は1400万円程度と、法人の破産にしては多くない数字でした。最終決算での年間売上は1800万円、ここで200万円の赤字が出ているため、立て直しは難しいとの判断でした。
法人破産と親族従業員
法人破産では従業員の処遇が問題になります。
残り少ない資金で従業員の待遇をどうするかの問題です。
解雇の場合、予告手当を優先するのか、離職票、源泉徴収票等の作成費用を優先するのか、未払賃料がある場合に、速やかに申立ができるか、などの問題です。
これに対して、従業員がいなかったり、役員だけ、親族従業員だけで話が通じるという場合には、この問題はクリアされます。
今回のケースでも、相談者が代表取締役になってから、従業員を雇用したことはないとのことでした。
役員である弟と2人で業務を行っていたというもので、従業員問題はありませんでした。
明渡のための動産査定
法人破産で、工場、事務所などを借りている場合には、明渡をしてから破産申し立てをするかどうか問題になります。
明渡が済んでいない場合には、破産管財人による明渡をしてもらうため、管財予納金が高額になります。
予納金を準備できない場合には、自分たちで明渡をしてから破産申立を進めます。
この場合、工場内の機械類、動産を処分することになります。その処分が適正だったか問われるため、大変ではありますが、相見積もりなどを取得しておく必要があります。
今回のケースでは、板金工ということで、本店の事務所兼工場には、いくつかの機械類がありました。
しかし、親の代から引き継いだもので、減価償却期間が経過しているもので、価値がないものと言われました。
また、決算書上、原材料等として、塗料とボルト類がありました。前者は使いかけのもので売ることはできず、ボルト類なども開封しているため売ることはできないものでした。
動産類はいずれも無価値と評価されたもので、処分の問題は少なそうでした。
工場の明渡後に破産申立
管財人による明渡費用の捻出が難しいため、賃貸人と交渉し、自身で明渡を実施しました。
父の代から借りていたということで、融通がききやすかったことから、破産管財人に引き継ぐよりも良いとの判断でした。
工場を閉め、同日から明渡作業を開始。早期に明け渡すことを優先し、賃貸人との間では廃材、機械類等を撤去することで明渡しとさせてもらいました。
このような場合、簡単でも良いので明渡確認書を作成し、明渡日の特定、敷金、未払賃料の処理についても記載しておくと問題になりにくいです。
決算書の未払金
決算書には、多額の未払金が計上されていました。
債権者であるか確認していくと、両親や弟に対する未払い金とのことでした。
父の代から、運転資金が不足すると、家族がお金を入れたり、計上されている役員報酬等を実際には受け取れず、未払金で処理していることが多かったようです。
家族ということで放棄してもらっていたため、債権者一覧表には計上せずに法人破産の申立を進めています。
オークションの保証金
廃業に伴い、保証金の回収をしています。
中古車販売では、オークション業者を利用することが多く、保証金を差し入れていることがあります。
廃業により、この保証金が戻ってくることも多いです。
オートオークションへの差入保証金について脱退手続をとり、返金されました。
決算書上、保証金として8万1500円と記載されていたものの、実際には5万円が保証金で他は入会金なので戻らないとのことでした。
法人破産申立後、厚木市内の弁護士が破産管財人に選任されています。
面談、引き継ぎのうえ、特に大きな管財業務はなかったことから、債権者集会も1回で終了となっています。
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