相模原市での会社破産
ケース紹介
相模原市の建設会社
債権者数約6社
負債総額約3500万円
神奈川県相模原市で建設機器のレンタル、請負事業を経営していた会社の相談です。
この記事は、
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相模原市内で法人破産を検討している
- 法人決算書の内容に不明点が多数ある
という人に役立つ内容です。
大手の下請
上場企業大手の四次下請けとして、クレーン作業等を行っていた会社でした。
そこから展開して、他の上場企業からの元請けの仕事をしたり、単発での建設機器の貸し出し等をおこなうこともありました。
この会社は、個人事業を法人化して設立した会社とのことでした。
人手不足倒産
従業員の確保がうまくいかずに、倒産になってしまったという経緯でした。
クレーンの操作には、免許が必要です。
この人員の補充は簡単ではありませんでした。
長らく求人を出していた時期もありましたが、応募は少なく、採用しても直ぐに辞めてしまうなど、定着しなかったとのこと。
人員は増減を繰り返していましたが、採用したときのため、クレーンは維持しておかなければならず、その負担は大きいものでした。
従業員の退職で事業継続困難に
3人いた従業員のうち、2人が相次いで辞めることになりました。
これにより、受けることのできる仕事が半減してしまいました。その後、人員を補充しようとしましたが、上手くいきませんでした。
もともとが、オペレーター4~5人で受注することを前提に、借入れもして設備投資をしていたため、オペレーター2人では返済を継続できるだけの売上げが出ずに、事業を停止することになってしまいました。
従業員の確保は、多くの企業での経営課題となっています。
やむをえず、残った従業員も解雇しての自己破産申立てとなります。
代表者に対する貸付金
法人破産では、決算書に載っている財産は説明する必要があります。
今回、決算書には、会社から代表者個人に対する貸付金が計上されていました。
このような場合、明確な貸付というよりは、会計処理の都合から計上したもので、実際には貸付けを行ってはいないことが多いです。会計知識がないため、税理士との連携がうまくできていないと、役員報酬がこのような計上になっていることがあります。
今回も、個人事業のときは報酬の増額に手続は必要なかったため、法人化後も手続を取らずに報酬を増額して受領していたものの、法人の役員報酬の変更には手続が必要なため、差額部分については、依頼していた税理士が貸付金として処理するしかなかったものです。
契約関係の説明
事業の性質から、レンタル契約、リース契約の処理、説明が求められました。
購入していた固定資産は少なく、レンタル等で対応していたため、その契約が解除されているかどうかの説明です。
会社で借りていたクレーン以外に、駐車場、複合機なども、事業停止に伴い契約を解除して返却している旨を説明しています。
固定資産としての車両
会社の決算書に固定資産、減価償却資産が載っている場合には、説明が必要です。
残っていれば、破産管財人が売却することになります。
今回、会社の決算書には、4台の自動車が固定資産税台帳に記載されていました。
しかし、これらの車は全て、個人で購入したものとのことでした。
なぜか会社の資産として計上されてしまっていたと代表者は言います。少なくとも税理士に対して報告しなければ、計上されることはないはずです。
4台の記載があるものの故障してしまったため買い換えた車両なども計上されたままになっていました。廃車になっているはずの車両も、税理士との連携が取れていないため、記載されたままになったものと思われます。
会社の資産として計上された車の中には、代金の支払に会社の口座を利用したため、会社の資産として計上されてしまったものもありました。しかし、代表者の説明では、直前に、個人の手元現金から、支払額以上の入金をしており、代金を負担したのは個人との主張、登録の名義も、購入時から個人のままとのことでした。
これも税理士との連携の問題といえるでしょう。
このように実態と決算書の記載情報が食い違っていると、説明が必要になるので、税理士とはしっかり連携しておきたいところです。
法人破産と売掛金
未回収の売掛金は財産です。これが残っていれば、破産管財人が請求、回収に動くことになります。
決算書の明細に記載されている売掛金については、すでに回収されているか、未回収の場合、回収可能性を報告します。
今回のケースでは、売掛金は、会社の事業を止めた際、全額を回収していましたので、その報告をしています。
長期間、決算書に載っている売掛金は回収可能性が低く、未回収のものが載ったままになっているだけであることが多いです。そのような場合も、報告を出します。
カードの入会金と法人破産
決算書にカードの入会金が資産計上されていました。
この入会金は、プリペイドカード作成時の入金額だと思うとのことでした。
このカードでは、入会時に支払ったり預けたりするお金はありませんでした。そのため、入会金は、カード作成時に入金し、残高として使用したはずとのことでした。
代表者は入会金名目で資産計上された経緯は分からないものの、決算をお願いしていた税理士の先生が領収書から入会金と判断したためではないかとのことでした。
本来は、経費計上すべき支出が資産計上されていたという内容です。
こちらも連携がうまくいかず、代表者に会計知識が不足しているため、不自然な決算書となってしまったわけです。
このような決算書の説明については、破産管財人も税務知識の不足と税理士との連携の問題であると考え、それ以上の調査はされずに、破産手続きは終了となっています。
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