
厚木市での会社破産
ケース紹介
厚木内の電気機械製造会社
債権者数約51社
負債総額約2億2000万円
神奈川県厚木市で、電気機械器具を製造していた会社です。
社内の内紛等もあり、業績悪化、累積赤字が繰り返された後の倒産という法人です。
銀行融資による経営
筆頭株主である人物が電気機械器具を製造する会社として設立した会社でした。
代表者は、昭和の時代に、同社へ入社し、主に営業や電機設備の組み立てをしていました。
その後、会社は役員交代に伴い、赤字が拡大し、平成15年頃には債務超過でした。
しかし、銀行から融資が受けられたので、何とか事業が続いていた状態。
内紛により代表取締役に就任
会長と社長の内紛もあり、収集がつかなかったので、約10年前、仕方なく、代表取締役に就任したとのことでした。
自身の退職金や他の出資者からの出資を集めて増資しました。
当時、負債は約1億円ほどありました。
また、売り上げは年間2~3億円で、負債を月々返済すると、利益は残らないような状態。
代表取締役就任後の経営状況
代表取締役が就任した後も売上は伸びず、徐々に借入が増えていきました。
資金が足りなくなると、銀行からの借入れでしのいでいましたが、次第に、銀行が短期でしか貸してくれなくなってしまいました。
近年になく売上は伸びる見込みがありましたが、それまでの赤字決算が響いて融資がおりず、運転資金が回らなくなってしまいました。
金融機関に融資を申し込みましたが、融資を断られてしまい、翌月の支払いができない状況になったということで、事業を閉鎖、法人破産申立となりました。
手形不渡り直前に事業停止、従業員も解雇したという状況です。
解雇予告手当も払えず、未払い給料も発生しており、立替え払い制度を利用することになるという状態でした。
工場の閉鎖
法人所有の工場がありました。
直前まで、融資を受けられれば、経営が続けられると考えていたため、現場はほぼそのまま。
機械類等も残っている状態でした。
工場自体は、自社所有物件であったため、早期に明渡の必要性などはありませんでした。
ただ、このような場合、債権者対応が必要です。
事業を止めたり、自己破産準備中という情報が漏れた場合、取引先債権者は、自社の債権回収のため、違法行為に出ることもあります。
具体的には、工場に侵入し、価値ある物品を持ち出すなどすることがります。なりふり構わずに、そのような行動に出ることがあるため、警備等の対応が必要になることも多いです。
本件では、破産管財人に引き継ぎ、管財人による換価価値がある動産類の確認、不動産の任意売却が進められました。
仕掛品がある場合の法人破産
直前まで事業を続けていたため、仕掛品もあるような状態でした。
法人破産の申立では、事業停止して、一定の期間があいてから破産申し立てをするケースと、直前まで事業を継続しつつ事業停止後すみやかに破産申し立てをするケースがあります。
後者のような場合、仕掛品や、仕掛工事があることも多いです。
請け負った内容を途中まで進めているものの、完成していないという状態のものです。
このような場合、請負契約では、出来高部分の請求ができることになります。何割程度の作業が終了しているのか等を個別に調査し、評価していかなければなりません。この評価について、取引先は強く意見を出し、出来高部分を低く見積もってくることが多いです。
破産管財人としても苦労するところです。
今回のケースでも、仕掛品を引き継いだ業者との間で、評価が問題になっています。
破産管財人が取引先と交渉し、相当額を回収する内容で和解を成立させています。
倒産防止共済の解約
会社では、倒産防止共済に契約をしていました。
こちらの解約金が約100万円。
倒産防止共済は、セーフティ共済とも呼ばれ、節税等にも使われる商品です。
基本的には、取引先が倒産した時などに備えるものではありますが、掛け金の金額も選べ、経費扱いになるので、税制上有利になります。
ただし、赤字決算であれば、もちろん節税メリットはありません。
一定期間かければ、解約時にも、元金が戻ってくるので、税金の発生時期をずらすことなどにも使われたりします。
今回の件では、こちらの解約金があり、破産管財人により解約され破産財団に組み入れられています。
売掛金の回収と法人破産
本件では、相当額の売掛金がありました。
売掛金があるような場合、自己破産申立て費用が足りないときには、この売掛金を回収して、破産申し立て費用や管財予納金に充てることもあります。
ただし、申立費用や管財予納金が足りる場合には、早期に自己破産の申し立てを進め、破産管財人に売掛金回収も引き継ぐ方が望ましいです。
今回のケースでも、早期申し立てをしているので、破産管財人による売掛金回収が行われました。
売掛金の総回収額も、約1700万円と高額なものとなりました。
代表者の話では、もともと、銀行融資によって、一定期間がしのげれば、業績が回復する可能性があるとのことでしたので、相当額の売掛金があったというものです。
従業員の未払給料に対する立替払い制度
従業員の未払い給料も、約1400万円と高額なものとなっていました。
このような従業員の未払い給料については、一定の要件を満たせば、立替払い制度を使うことができます。
簡単にいえば、立替払い制度とは、国が未払い給料のうち相当額を立て替えてくれるというものです。
ただし、従業員が多数の場合には、書類の取りまとめが大変だったり、解雇予告手当は対象外だったりするデメリットがあります。
今回のケースでは、早期に一定額の財産回収ができ、破産財団を構成することができているため、未払い賃金立替え払い制度を利用せずに、優先度が高い財団債権や、優先的破産債権として弁済を進めています。

国による、未払い賃金立て替え払い制度を使う場合にも、一定期間かかってしまうので、早期に財産回収ができるようなケースでは、このような処理がされることが多いです。
従業員としても、破産財団から払われたほうが、分かりやすい取り扱いとなります。
未払い給料を払った後は、破産債権届出をしていた従業員については、届けを取り下げてもらいます。
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