延滞税・延滞金の減免申請について解説。神奈川県厚木市・横浜市の法律事務所が管理しています。

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Q.延滞税の減免申請とは?

税金の延滞が発生した場合、その支払い遅延に対して延滞税や延滞金が課されますが、破産手続きではどのように扱われるのでしょうか。

本記事では、財団債権としての延滞税・延滞金の優先順位や、減免申請が可能なケースについて詳しく解説します。特に、破産管財人が取るべき対応や、破産者が個人の場合の留意点について触れ、税金の負担軽減の手段を探ります。

 

著者 弁護士石井琢磨

 弁護士石井琢磨
 更新:2024.10.18

 

財団債権の延滞金・延滞税

税金は、支払が遅れると延滞税等が発生します。

これが破産手続きでどのように扱われるのでしょうか。

延滞税等が発生する原因となる本税が財団債権である場合は、破産管財人がその本税を納付しないことによって発生する延滞税等についても、財団債権と同じ取り扱いとなります。この場合、延滞税等は破産手続上、財団債権として優先的に支払われることになります。

破産手続開始決定後に発生する延滞税や延滞金は、原則として破産債権に含まれ、劣後的破産債権として取り扱われます(破産法97条3号、破産法99条1項1号)。

 

延滞税減免の2パターン

延滞税(国税)や延滞金(地方税)は、納期限を過ぎて本税が支払われなかった場合に課されます。
これらを減免できれば、他の債権者への配当原資を増やすことができます。

延滞税や延滞金は、そのままでは破産財団の負担となるため、破産管財人は減免を申請できるかどうかを検討することが重要です。財団債権の延滞税の減免では、2つのパターンがあります。

破産財団に一定額が組み入れられ、本税を支払うことができる状態になるまでと、その後です。

破産財団の組入は、破産管財人口座の残高を見るのが通常です。

延滞税

破産財団構成後の延滞税減免

まず、本税全額の支払が可能となった日以降の延滞税等の減免についてです。

破産管財人が換価処分等を行い、本税全額を支払うに足る金銭を受領した場合、その金銭を受領した翌日から実際に本税を納付した日までの延滞税等については、免除を受けることが可能です(国税通則法63条6項4号、同法施行令26条の2第1項、地方税法20条の9の5第2項3号)。

破産管財人は国税徴収法上で執行機関とされています。執行機関が強制換価手続において当該金銭を受領した日の翌日から交付要求に係る国税・地方税に充てた日までの期間の延滞税は免除することができるとされています。

 

この減免は、規定から、ほぼ確実に認められるはずです(覊束裁量的運用)。各規定の適用がある税金なのに、これに応じない場合には、文献を送付するなどして認めてもらったこともあります。

「覊束裁量」 とは法律で定められた条件が満たされれば自治体が減免を認める義務がある状態を指します。

これに対し、「自由裁量」 は自治体が個別の事情を考慮して自由に判断できる状態です。

この規定は、破産管財人が換価した資金を国税や地方税の納付に充てた場合、それ以降の延滞税を課すことの不合理を防ぐために設けられています。

対象期間:本税全額支払可能日の翌日から実際の支払日まで
根拠法令:
- 国税:国税通則法63条6項4号、同法施行令26条の2第1号
- 地方税:地方税法20条の9の5第2項3号、同法施行令6条の20の3

財団構成日については、破産管財人口座の通帳コピーを添付するなどして示します。

 

減免の流れ

税務署や自治体に連絡して、税金を支払う旨と、財団構成日以降の延滞金等の減免申請をする旨を伝えます。本税部分の納付方法を確認します。

減免申請書を提出します。自治体によっては申請書のひな形(フォーマット)を提供してくれるところもありますが、自由な書式で提出するように求められることもあります。

自治体から本税部分の納付書が送られてくるので、それを支払います。

本税を納付したのち、延滞税の減免が実行されます。自治体によっては、本税納付後に減免申請をするよう求めてくることも多いです。

財団債権の按分弁済で減免を考えるような場合には、減免が事実上約束されているものとして、本税での按分弁済をすることもあります。

 

破産財団構成未了の延滞金減免

これに対し、税金を全額払えるだけの財団が構成されなかった事案については、上記の減免規定は使えません。

地方税については、やむを得ない事由がある場合、延滞金の減免が認められています(地方税法64条3項)。

こちらは自由裁量とされています。

これに基づき、破産財団が十分でない、換価作業に時間がかかるなどの理由をもって、全額の支払いができなくても減免申請をすることが可能です。

ただ、国税にはこのような規定はないため、同様の減免を受けることは困難です。

また、地方税法では天災やその他特別な事情がある場合に、条例によって本税の減免が認められることがあります(地方税法61条)。

この延滞金減免申請をする場合には、財団が少ないので、配当はできない見込みです。税金だけの支払で終わることになるので、税金間での金額の違いとなることが多いです。

つまり、延滞金を減免してもらった場合、他の税金の取り分が増えるという関係です。

地方税でも認めてくれるところと、そうでないところもあり、申請することで、若干の不公平感が生じることもあります。

延滞税

加算税・加算金について

加算税や加算金は、破産手続開始前の原因(例えば過少申告や無申告)に基づいて発生するもので、制裁としての性質を有しています。

そのため、延滞税等とは異なり、発生する本税が財団債権か破産債権かにかかわらず、劣後的破産債権として扱われます(破産法97条5号、破産法99条1項1号)。

これは、制裁としての性質を持つ債権が、他の破産債権者の権利を圧迫することを回避するためです。

そのため、加算税・加算金は延滞税等とは異なり、本税が財団債権である場合でも優先されず、破産手続内で劣後的破産債権として取り扱われます。


これに対し、本税が財団債権に当たる場合は、破産管財人が納付しないことで発生する延滞税等について破産管財人の不作為によって生じたものに準じて財団債権とされます。

 

破産者が自然人の場合

破産者が法人(会社)ではなく、自然人の場合、租税債権に免責の効果が及ばないこと(破産法253条)に注意が必要です。

破産者の経済的再生の機会を確保する観点から、延滞税や延滞金の減免申請を積極的に検討したほうが良いでしょう。

破産者が個人である場合には、経済的負担が長期にわたる可能性があるため、減免が認められる余地があるなら、あらゆる方法を検討し、破産者の再生を支援することが重要です。

 

 

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