破産手続きの債権届の基準時について解説。神奈川県厚木市・横浜市の法律事務所が管理しています。

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FAQ(よくある質問)

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Q.債権届の金額の基準時は?

破産手続きで債権者は、債権届を提出することが多いです。

保証人がいるなど、債務者が複数いる場合に、一部の債務者から弁済を受け、金額が変わることもあります。

そのような場合、債権届をどうするのか問題になります。

破産手続きでは、開始時現存額主義という言葉があり、他の債務者からの一部弁済があっても破産開始時を基準時とした金額をもとに配当に参加できるルールがあります。

著者 弁護士石井琢磨

 弁護士石井琢磨
 更新:2023.8.24

 

開始時現存額主義とは

破産手続きでは、裁判所に債権届出をし、認められた金額に対し破産者の財産が分配される配当が行われます。

この債権届出をした際に、保証人の場合には問題が出ることがあります。開始時現存額主義と呼ばれるルールです。

債務者複数・債権者複数の場合の届出があった際のルールです。


複数の債務者が全額の債務の履行義務を持つ場合(不可分債務、連帯債務、連帯保証)に、その中の一部または1人が破産手続きを開始した場合、債権者は破産手続き開始時の全債権額で参加できるルールがあります。これを「開始時現存額主義」と呼びます。


他の債務者が破産手続き後に弁済を行った場合でも、債権の全額が消滅しない限り、債権者は破産手続き開始時の債権全額で権利行使ができるのです。

たとえば、太郎、次郎、三郎の3人が、銀行Aに対して100万円の連帯債務を持っているケースを想定してみます。この時、太郎が破産手続きを開始した場合、銀行Aは太郎に対して100万円の債権で破産手続きに参加できます。

 

開始前に弁済があった場合の届出方法

複数の債務者が全額の債務の履行義務を持つ場合で、破産手続き開始前に一部が弁済された場合、債権者はその残額を破産債権として届け出ます。

あくまで破産手続き開始時点での金額が基準になりますので、その前に弁済を受けていたのであればそれを反映させた金額となります。

たとえば、太郎、次郎、三郎の3人が、銀行Bに対して150万円の連帯債務を持っている例を想定しましょう。太郎が50万円を先に返済した後、次郎が破産手続きを開始。この場合、銀行Bは次郎に対して残りの100万円の債権で破産手続きに参加できます。

 

開始後に弁済があった場合の届出方法

破産手続き開始後に他の債務者が弁済を行った場合でも、債権者は破産手続き開始時の債権額で届け出を行い、配当を受けることができます。弁済を受けたのが破産手続き開始決定後であれば、それを反映させる必要はなく破産手続き開始決定時点の債権額を基準に配当を受けられるわけです。

たとえば、太郎、次郎、三郎の3人が、銀行Cに対して200万円の連帯債務を持っている例を想定してみます。太郎が破産手続きを開始した後、次郎が100万円を返済。しかし、銀行Cは太郎に対して破産手続き開始時の200万円の債権で手続きに参加できるのです。

銀行の持つ債権額は配当時には100万円に減っていたのですが、100万円を基準にするのではなく、もともとの200万円を基準にするというルールです。

 

複数の債権を持つ場合

複数の債権を持っている場合には、債権ごとに考えます

一部の債権が弁済により消滅した場合、債権者はその消滅した債権について破産手続きに参加できません。

複数の債権を持つ場合、一部の債権が消滅したら、債権者は消滅後の残額のみで破産手続きに参加できることになります。

銀行Dに対してA債権100万円、B債権150万円、C債権200万円の合計450万円の連帯債務を持っている例を想定してみます。

破産手続きを開始後、A債権の100万円を返済して消滅させた場合、銀行Dは350万円の債権(B債権とC債権の合計)で破産手続きに参加できることになります。

 

開始時現存額主義を注意するシーン

保証人に対する債権者などは注意する必要があります。

例えば、債権者の立場で法人と代表者である保証人に対して債権届出をしているケースがあります。

法人の破産手続きが先に進み一部配当を受けられた場合には、保証人に対する債権額も配当を受けた分が減ることになりますが、債権届の金額を変更する必要はありません。あくまで破産手続き開始決定時の残高で保証人の方の破産手続きでの配当に参加できることになります。

破産管財人が債権届に対して認否する場合にも注意が必要です。

破産管財人から保証人の債権者に対して金額変更をするよう請求があった場合などは、債権者としてはこの開始時現存額主義を把握しているのかどうか確認した方がいいかもしれません。

 

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