破産手続きでの配当表の更正手続について解説。神奈川県厚木市・横浜市の法律事務所が管理しています。

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Q.破産事件の配当表の更正手続は?

破産手続きの最終局面である配当手続で、作成された配当表が間違えている、修正が必要になることがあります。この場合の手続が、配当表の更正です。こちらを解説します。

著者 弁護士石井琢磨

 弁護士石井琢磨
 更新:2022.10.12

 

配当表の更正とは

一度、作成した配当表を修正することです。

破産手続きでは、破産者の財産をお金に換え、債権者に配当します。

この最後の配当手続きでは、破産管財人は配当表をつくり、どの債権者にいくら分配されるかを一覧にします。通常は、これを作成し、裁判所の許可を受けて配当します。

しかし、配当表の作成後、変更があったり間違いに気づくことなどもあります。そのような場合に、配当表を修正することがあります。これを配当表の更正と呼びます。

 

破産法上での配当表の更正

配当表の更正については、破産法に条文があります。

破産管財人は、配当表の記載事項に変更が生じたときは、配当表を更正しなければならないとされています(破199条)。

 

配当表を更正する事由

どのような場合に配当表を更正することになるのでしょうか。条文にかかれている「記載事項に変更が生じたとき」とは何なのかが問題になります。

破産法の条文では、配当表の更正事由として、

・破産債権者表を更正すべき事由が生じた場合 (破199条1項1号)、

・債権確定手続の係属について証明があった場合(同項2号)、

・別除権付破産債権について不足額の証明等があった場合(同項3号・2項)、

・停止条件付債権または将来の請求権が現実化した場合(破198条2項)

が挙げられています。

これらは、配当手続きの中で、除斥期間内に発生した場合の話です。

 

破産債権者表を更正すべき事由

破産法の条文で最初に挙げられているのが抽象的な規定です。

たとえば、異議を出した破産債権の異議が撤回されたような場合や、債権届出が取り下げられた場合などは、記載されている金額が変わるので、配当額も変更になり、配当表の更正が必要とされます。

 

債権確定手続の係属について証明

2つ目の、債権確定手続の係属について証明があった場合とは何でしょうか。

債権調査において異議等が出された債務名義のない債権について争いがある場合です。

この債権について、債権確定手続が係属していることの証明があったときは、破産管財人は、この債権について配当表に記載し、配当額を供託しなければならないとされています。

 

別除権付破産債権について不足額の証明

別除権付破産債権とは、不動産の抵当権など担保のことです。

担保に取っているものがあれば、破産手続きとは別に回収ができます。抵当権であれば、これを実行して、競売申立ができ、売却代金から受け取ることができます。

このような別除権付破産債権では、債権届出をする際に、担保では足りない不足見込額を届出ます。

たとえば、債権額が2000万円、不動産に抵当権を設定している場合、その不動産価値が1500万円であれば、これを売っても、500万円がたりなさそうです。このような不足しそうな見込額を記載して届け出るのです。

 

そして、配当段階になり、別除権付破産債権について、別除権の放棄や任意売却での受戻等により、債権の全部または一部が別除権により担保されないと確定した場合には、不足額が決まります

このような不足額が確定したとの証明がされた場合には、配当の基準となる債権額が変わりますので、配当表の更正が必要なのです。

 

計算ミスによる配当表の更正

破産法で明記されている事由のほか、計算ミスによる更正などもあります。

解釈上、計算ミス等によって配当表の記載自体に明白な間違いがある場合には、配当表の更正ができるとされています。

間違えた配当表のまま進めるわけにはいかないので、当然でしょう。

 

財団債権の判明

配当表には、異議申立期間があります。

この期間内に、新たな財団債権が判明したときも、配当表の更正が必要となります。

破産管財人は、配当前に財団債権に漏れがないかチェックして裁判所に配当許可申請をします。

しかし、どうしても把握していない財団債権が出てきてしまうことはあります。

予想外の役所からの公租公課の請求があることも。

また、ジン法律事務所弁護士法人での取り扱いでは、融資を受ける際の保証協会の保証料について、自治体の補助金を受けていたところ、代表者死亡による保険で完済し、破産管財人の請求で保証料が還付された事案があります。保証料の還付によって、自治体の補助金について一部の返還義務が発生したという事例です。

代表者死亡案件ということもあり、補助金の受領について説明、引き継ぎがなかったため、これを認識できず、配当手続きを進めていたところ、還付金の返還義務が判明し、財団債権として支払い、配当表を更正したという事例です。

 

なお、配当表の更正は、配当表に対する異議申立期間満了前までは、問題なくできるとされています。

 

 

配当表更正の手続

配当表の更正について裁判所の許可は必要ではありません

更正配当表を作り、破産裁判所に提出することになります。

通常は、配当許可申請時に提出した配当表を修正する形となるでしょう。配当額の基礎となる債権額に変更がある場合には、その債権者の箇所を修正します。また、配当できる金額に変更がある場合には、元になる数字を書き換えることになるでしょう。

従前の配当表と間違えるといけないので、タイトルを「配当表(更正)」のようにわかりやすく記載しておくと良いです。

また、裁判所へは、更正の理由やその資料を添付するのが通常です。内容によっては、財産目録や収支計算書も修正が必要になります。

 

更正後の配当額の通知

法律上、配当表の更正については、破産債権者等の閲覧に供されます(破11条1項)。

また、通常は、更正による金額変更はそれほど大きくありません。そのため、更正後の配当について、公告等をするのは煩雑です。公告は不要と解されています。

ただ、配当金額は、債権者にとって重要です。配当通知と金額が変わる場合には、その理由等が問い合わせられることも予想されます。

そこで、配当表に対する異議申立期間経過後に破産管財人から、配当通知を送った債権者に対しては、更正後の配当表金額を通知することも多いです。

その方が債権者にとっては親切といえるでしょう。

 

その後は、予定通り配当を行います。通常の配当手続と同じです。

 

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