FAQ(よくある質問)
FAQ(よくある質問)
Q.企業の民事再生で、ポイントはどうなる?
ポイントを発行している会社、商品券を発行している会社、チケット制の店舗などが民事再生をする場合、それらのポイントがどうなってしまうのか、心配する声が出てきます。
法的には、減額対象となりそうですが、例外規定を使い、減額しない対応をするのが望ましいといえるでしょう。
法人の民事再生とポイント
現在、いろんな企業がポイントを発行しています。
これを貯めている人も多いでしょう。
企業側も、販売促進、顧客囲い込みの方法として、よく使っています。
そのようなポイントを発行している会社が倒産してしまった場合、ポイントはどうなるのでしょうか。
企業の倒産手続きが自己破産手続きではなく、民事再生手続きの場合、企業は存続することになります。
企業は再生し、店舗等は運営されるのに、自分たちが貯めたポイントはどうなってしまうのか、気になるところです。
ポイントの活用方法
企業によって発行されるポイントはどのような仕組みのことが多いのでしょうか。
まず、企業は、消費者に対し、商品やサービスの購入時、来店時等で、有効期限、利用条件などをつけてポイントを付
与しています。
これを付与された消費者は、条件のなかで、貯めたポイントを利用することができます。
ポイントを使うことで、商品や、特定のサービス提供を受けられます。
お金のように使うことで、代金が減額されたりすることが多いでしょう。
また、ポイントによって商品と交換できたりもします。
ポイントは少額弁済で維持
ポイントの権利性については、通常、約款等で決められています。
ポイントプログラムなどの利用開始時に同意を求められることが多いでしょう。
また、カード作成等の場合には、説明書面に記載されていることもあります。
このようなポイントの権利性が認められたとしても、これは債権となるので、民事再生手続きにより減額されてしまうのではないかという疑問が出てきます。
民事再生では、債権者の債権は減額されます。そのため、ポイントも目減りしてしまうのではないかという疑問です。
しかし、ポイントを多数持っている消費者は、その企業の優良顧客です。
民事再生により事業を立て直すためには、優良顧客の顧客離れは避けたいところです。
事業自体が続くのであれば、消費者としては、ポイントの利用を強く希望するはず。これを拒絶すれば、反発を受け、事業価値が下がってしまう、事業の継続が困難になってしまうリスクがあります。
そこで、事業再生の観点から、少額弁済制度を適用し、ポイントを維持、利用を認めることが妥当ではないかという指摘もあります。
おそらく、このような制度の利用は可能なケースが多いでしょう。
民事再生と商品券
ポイントと似たような話として、企業発行の商品券があります。
消費者が、発行した企業や提携先企業などにおいて、代金の支払に使える券です。
理論的には、商品券も、発行企業に対する債権となります。
企業が民事再生手続となれば、商品券の権利も再生債権となり、減額されることになります。
商品券にも、利用約款等があるものもあり、民事再生等の倒産手続の申立てがあったときは利用できなくなると記載されているケースもあります。
しかし、商品券が広く配布されているようなケースでは、多数の債権者が発生し、民事再生手続に参加させるとなると、手続きが停滞することもあります。
ポイントと同じように、消費者からの信用を維持することで、事業維持につながるとして、少額債権として弁済することも検討されることになるでしょう。
民事再生とチケット
商品券と同じようなものに、チケット制のサービスもあります。
英会話学校や、エステ業者、パソコン教室などで発行されていることが多いです。
消費者から費用を前払いしてもらい、チケットを発行するものです。
このような役務チケットを発行している場合、法的には、資金決済に関する法律上の前払支払手段に位置づけられます。
そうすると、払戻請求権、役務提供請求権等は、再生手続開始前に発行されたものに関する権利となり、民事再生手続きでは、やはり再生債権となってしまいます。
つまり、再生計画案により減額されるのが原則。
しかし、このようなチケットについても、ポイント等と同じく、多数の消費者が利用しているのが通常です。
これを債権者とすると、民事再生手続きが非常に煩雑となります。
また、これを減額すると、消費者の反発を受け、事業に支障が出る可能性が高いです。
このような点を考慮し、民事再生法85条5項前段又は後段による少額弁済を利用することが妥当といえるでしょう。
民事再生とポイントまとめ
民事再生手続きをした会社が、ポイント、商品券、チケット等を発行している場合、理論的には、債権となり、再生計画案による減額を受けることになります。
しかし、そのような方向性での民事再生では、消費者の反発を受け、事業継続が困難になることが想定されます。
そのような点を考慮し、少額弁済の例外規定を使って、減額をさせない対応をとることが望ましいでしょう。
企業側がそのような動きに出ない場合には、消費者たちも声を上げていくことが必要でしょう。
民事再生等、法人倒産手続きのご相談のお申し込みは以下のボタンからできます。