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FAQ(よくある質問)

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Q.会社破産と賃貸借の問題は?


賃貸借契約は双務契約です。

賃貸人は賃貸借契約の期間中、賃借人に目的物件を使用させる義務を負っています。

賃借人は、賃料支払義務や目的物の返還義務を負っています。

著者 弁護士石井琢磨

 弁護士石井琢磨
 更新:2021.7.30

賃貸借契約期間の途中で、賃貸人・賃借人いずれかの当事者について破産手続開始決定がされた場合、残りの賃貸借契約期間については、双方の義務が残っている状態です。

そのため、賃貸借契約は双方未履行双務契約の問題となります。

双方未履行双務契約の処理について、破産管財人は、契約に基づいて破産者の債務を履行し、相手方にも履行を請求するか、または解除するかを選択できます。

破産管財人が解除を選択した場合、契約関係は遡及的に消滅します。

破産者がどちらの立場で、どのような効果が生じるのか確認していきましょう。

 

賃借人の破産

かつて、民法の旧621条があり、賃借人について破産宣告がなされた場合、賃貸人に解約申入権を認め、これが行使された場合には、賃借人からの損害賠償請求権はできないとされていました。

この規定には批判も多かったことから削除されています。

これにより、賃借人について破産手続開始決定がなされた場合、賃貸人はただちに解約できるものではありません。

結局、双務契約の一般的な問題として、賃借人が破産した場合も、破産管財人は破産法53条により、賃貸借契約を解除するか、履行選択するかを決めることになります。

 

賃料について、破産手続開始後の分は財団債権なります。

随時弁請される扱いになることから、賃貸人は、ここで保護されます。

財団債権である賃料債権が払われないのであれば、信頼関係の破壊を主張し、賃貸借契約を解除することもできるとされています。


また、破産管財人が履行選択をした場合の過去の未払賃料について財団債権化されるかという問題はあります。しかし、賃貸借契約の給付については可分と考えられます。

したがって、破産管財人が履行選択した場合の、過去の未払賃料は財団債権ではなく、単なる破産債権にすぎないとされています。

 

賃借人の破産と原状回復請求権

賃借人が破産した場合で破産管財人が解除を選択した場合、賃貸人は原状回復請求権を持ちます。

破産管財人に代わって、賃貸人が原状回復をした場合には、費用請求権が出てきます。

このような原状回復請求権が財団債権か、破産債権なのかについて問題になります。

まず、発生時期について考えると、原状回復請求権は、破産管財人によって賃貸借契約が解除された時点で発生します。

そうすると、この原状回復請求権は「破産手続開始後」に生じた請求権となり、財団債権になりそうです。

一方で、破産法148条1項の財団債権は、それぞれ、破産手続全体の利益のための債権という性格を持っています。

たとえば、破産手続に必要な費用や、破産財団が利益を受ける場合の第三者の反対給付請求権などです。

破産手続きから見ると、全体のため、共益的な性格のものです。

このような財団債権の趣旨からすると、賃貸借物件の原状回復請求権は、発生原因が破産手続開始前の工事等の行為であり、破産手続全体の利益とはいえません。

したがって、破産法148条1項8号に規定する「破産手続開始決定後その契約の終了に至るまでの問に生じた請求権」の解釈としては、発生原因も破産手続開始後のものに限定する方が良いのではないかと言われます。

 

次に、原状回復請求権は、破産管財人の行為によって生じた請求権であるという理屈で財団債権になるのではないかとも考えられます。4号の問題です。

しかしながら、4号は、管財人の行為によるものは、債権者全体の利益である破産財団で負担するのが公平であるという趣旨から規定されています。

解除自体は、管財人の行為ではありますが、原状回復請求権の内容を見れば、破産手続開始前の行為を原因とするものです。

このような理由で、原状回復請求権は財団債権ではなく、破産債権とする裁判所も多いです。

法的にハッキリしていないところもあり、裁判所によって運用が変わっている問題でもあります。

 

賃借人の破産と違約金問題

賃貸借契約では、違約金条項が設定されていることもあります。早期解約の場合には、賃借人が違約金を払わなければならないという条項です。

賃借人の破産管財人が賃貸借契約を解除した場合、賃貸借契約上の違約金条項は適用されるのでしょうか。

この点について、裁判例は分かれています。

破産法53条1項に基づく解除権は、破産法によって特別に破産管財人に与えられた権利ともいえます。そうすると、破産管財人は、破産者のそれまでの契約上の地位よりも有利な地位を与えたともいえ、不利な契約条項には拘束されないとも考えられます。

この点も、裁判所の運用によって違うのですが、賃貸借契約中の違約金条項は適用しないとする裁判所もあります。

 

さらに、賃貸人の損害賠償請求権について、敷金から控除できるかという問題もあります。

この問題についても確定的な考えはなく、判断が分かれています。

通常の破産管財業務では、明渡等とあわせて和解的な解決がされることが多いでしょう。

 


敷金と質権

賃借人破産と敷金について、破産管財人が意識する判例があります。

最高裁平成18年12月21日判決です。

敷金返還請求権に質権が設定されている場合でした。

賃借人が破産したのですが、破産管財人は、担保価値維持義務があるとされました。

賃借人の破産管財人は、破産者が質権者に負担すべき敷金返還請求権の担保価値を維持すべき義務を承継するとしました。

破産管財人は、質権者に対し、正当な理由に基づくことなく未払債務を生じさせて敷金返還請求権の発生を阻害してはならないとされました。

明渡が遅れるなどして、未払い賃料が増え、敷金返還請求権の価値を減らさないようにしなければならないのです。

 

 

賃貸人の破産

賃貸人が破産した場合には、賃借人の保護から、破産法56条が適用されます。

賃借権などの契約について、破産者の相手方が当該権利につき登記、登録などの第三者に対する対抗要件を具備している場合には、双方未履行双務契約に関する破産法53条1項および2項は適用されません。

対抗要件を具備した賃借人に対しては、破産管財人は解除できないのです。

賃借人の請求権(使用収益権)は財団債権となります。目的物を使用収益させ続けなければならなくなります。

 

賃貸借関係では、賃料前払いや将来債権譲渡の効力も問題となります。

将来の賃料債権が処分されているような場合、破産財団は賃貸目的物について負担だけを負ってしまうケースが想定されます。

破産管財人は、将来の賃料債権が債権譲渡されているようなケースでは、相当な対価でなされたかなど詐害行為否認、偏頗行為否認の検討、負担だけ発生する目的物を管理し続けることが適当でないときには、目的物の譲渡や、破産財団からの放棄をすることになります。

 


敷金の処理

敷金返還請求権は、停止条件付債権という性質です。

賃貸借契約が終了した後、明渡しまでに生じる債務を担保するものです。

明渡完了時に、未払賃料等の被担保債権を控除して、残額があることを条件に、請求できるものです。

したがって、賃借人は敷金返還請求権を自働債権として賃料債権を受働債権とした相殺はできません。

通常、「敷金があるから賃料を払わない」という主張はできないわけです。

ただ、賃借人が破産管財人に対して賃料を弁済する場合に、敷金の限度において弁済額の寄託を請求することはできます。これにより、後に敷金返還請求権が発生したときには、寄託金相当額を優先的に回収することができます。

 

賃貸人の破産管財人は、寄託金が他の破産財団と混同しないよう、別口座で分別管理するなどの対応が必要になってきます。

 

なお、敷金返還請求権は敷金契約により発生します。

これは、賃貸借契約と同時にされ、従たる契約であるものの、法的には別個の契約です。

敷金契約について、破産管財人が履行を選択した場合や、管財人の解除権が制限される場合の財団債権化される使用収益権とは別であり、停止条件付破産債権という性質です。

 

 

 

 

 

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