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FAQ(よくある質問)

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Q.光熱費等の継続的供給契約の処理は?

破産事件では、継続的供給契約が問題になることも多いです。

継続的給付契約とは、契約当事者の一方が、一定期間だったり、または期間の定めを決めずに、反復的に種類をもって定められた給付をする義務を負う、そして、他方が各給付や、一定期間を決めてその期間内の給付に対し対価を支払う義務を負う契約です。

電気、ガス、水道、電話などの光熱費関係が典型例ですね。

毎月の代金などが「一定期間を決めて」発生するという話です。

これ以外にも、原材料の継続的供給契約のように、継続性がある法人間の取引なども含まれます。

光熱費関係の場合には、法令で継続的給付が義務づけられていることから問題が生じることも多いです。

著者 弁護士石井琢磨

 弁護士石井琢磨
 更新:2023.7.12

 

破産申立前か申立後かの区分

継続的供給契約の処理については、破産法では次のような区分がされています。

破産申立て前の代金と、破産申立てから開始決定までの代金との区分です。

決定日ではなく、申立日が基準になっています。

破産申立前の供給に関する代金債権については、破産債権とされます。

これが弁済されないことを理由として、相手方は破産手続開始後の供給を拒絶できません。

破産法55条1項がこの規定です。

「破産者に対して継続的給付の義務を負う双務契約の相手方は、破産手続開始の申立て前の給付に係る破産債権について弁済がないことを理由としては、破産手続開始後は、その義務の履行を拒むことができない。」

このような規定の趣旨は、破産手続において破産手続開始決定後に一定の継続的供給契約が履行され続けることが管財業務に必要な場合があるからです。

 

これに対し、破産申立後の供給に関する代金債権については、財団債権とされます。

そのため、これが弁済されないことを理由として、破産手続開始後について履行拒絶ができます。

財団債権については、2項の規定です。

「前項の双務契約の相手方が破産手続開始の申立て後破産手続開始前にした給付に係る請求権(一定期間ごとに債権額を算定すべき継続的給付については、申立ての日の属する期間内の給付に係る請求権を含む。)は、財団債権とする。」

この規定について、保全処分によって、破産者の弁済が禁止されているときは、供給を拒絶できないとする文献もあります。

 

労働契約は例外

労働契約もその法律上の性質としては、継続的給付を目的とする契約に含まれそうです。

労働力が給付とされれば、一定の期間毎に対価が発生しています。

しかし、労働者の保護からすると、このような規定を適用するのは望ましくないとされ、適用が排除されています(法55条3項)。

 

下水道料金の優先性

破産手続きでは、一般の債権より税金は優先されます。

それ以外に、公共性の高い債権は優先される扱いになります。公租公課の優先性です。

公共料金の場合、このような優先性を持たないかチェックする必要があります。


まず、下水道の使用料(下水道20)は、地方自治法上の「使用料」に該当します。これにより、地方税の滞納処分の例により徴収することができる請求権に当たります(自治231の3③.附則6三)。これにより租税等の請求権と同じく、納期限によって優先的破産債権となるか財団債権となるかが決まります。

そのため、破産手続開始決定時点で、納期限の到来していないもの、納期限から1年を経過していない債権は財団債権となります。それ以外は、優先的破産債権の扱いです。

 

下水道以外の公共料金債権の優先性

下水道以外の電気、ガスなどの場合、自然人か、法人かによって優先性が変わります。

まず、破産申立て前の給付の対価は破産債権となります。

ただし、法人ではなく、個人、法的には自然人と呼びますが、この場合は違います。

個人破産の場合、継続的給付について、上水道・電気・ガスの供給は日用品の供給として、破産手続開始前6カ月分が一般先取特権の対象になり、優先的破産債権とされる可能性があります(民法306条4号、310条)。その余は一般破産債権となります。

法人破産の場合は民法の規定は適用されず、一般先取特権は成立しない、そのため優先的破産債権にもなりません。

 

次に、破産申立て後、破産手続開始決定前の給付に関する対価は、財団債権とされます。

この際、一定期間ごとに金額を算定する継続的給付(例えば、電気料金が毎月の検針日ごとに計算されるなど)については、破産申立て日が属する期間内の給付の対価も、財団債権とされます。

たとえば、毎月月末締めで1ヶ月ごとの代金設定の場合、5月20日に破産申し立てをしたら、5月1~19日分も含めて5月分全体が財団債権とされるということです。

毎月10日が検針日で、破産手続開始の申立てが6月20日であった場合、6月20日以降ではなく6月10日を含む月の代金も財団債権になります。

その期間を申立て日の前と後で分け、財団債権部分と破産債権部分とに分ける日割り計算をしなくても済むようにした規定です。

 

破産管財人による解除か履行か

このような継続的供給契約についても、双方未履行双務契約に関する破産法53条の適用があります。

破産管財人は、これにより契約の解除か履行かを選択しなければなりません。

たとえば、破産会社の携帯電話利用契約があります。これも継続的供給契約に当たりますが、通常、破産管財業務には必要がありません。

このような場合には、破産管財人としては、破産会社の契約を解除した方が良いことになります。

破産者が、法人ではなく、個人の場合には、契約を継続したいと希望することも多いです。このような場合、理論的には契約上の地位を移転、または契約はそのままで、破産者から利用代金については不当利得などで組入、入金させるということになるでしょう。ただ、実務上は、個人が生活で利用している携帯電話代について、未払いがなければ、管財人がタッチせず、そのまま破産者が払うということも多いです。

 

電気契約の注意点

破産会社の事務所、工場などで電気契約があります。

この解約には注意が必要でしょう。

パソコンやオフコン等のデータ保管体制がどうなっているか確認すべきです。

これらの内部に経理資料や財務関係、取引関係のデータが保管されている場合も多く、電気契約の解約でこれらのデータの確認、保全ができなくなる場合には、電気を維持しておく必要があります。

特殊なオフコン等については、電気供給の停止によってデータが抹消される場合もあるとされます。

 

パソコン等については、売却する際にも顧客データなどの機密資料、個人情報が流出しないよう、初期化や復旧できない方法でデータの抹消をしなければならないとされます。

 

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